ハスクバーナTEのキャブセッティング!(今回はキャブの基本も含まれてるよ)
キャブセッティングなんて何年前のバイクだよw
現行の2017年モデルですが何か?(#^ω^)
今年までのハスク及びKTMの2stは残念ながら(?)キャブです。来年のモデルからは新技術のTPI(I)で2stFIになります。
そもそも何でセッティングが必要なの?(飛ばしても大丈夫)
さて、物理と化学のお時間が来ましたw 燃料をガソリンエンジンで燃焼させるのに必要な条件は何でしょうか?
- いい混合気(空気とガソリン)
- いい点火(スパークプラグ)
- いい圧縮(シリンダー内)
この3つです。
今回はその中でも「いい混合気」の部分に当たります。
いい混合気の定義についてですが、理想的な空燃比と言われる値がありまして
空気:ガソリン=14.7:1
となっています。が、しかしこの理想空燃比はあくまでも理想値、現実的にはこれでは薄い。
もう一つの空燃比(経済空燃比リーンバーンは省く)
もう一つ、出力空燃比と言われる目安があります。
空気:ガソリン=12.8~13.2:1
これはエンジンのパワー、保護を考えると理想的です。空燃比にはもう一つ環境問題という排気ガスに関する問題が出てきますが、ややこしいのでここでは省きます(NoxとCHxでググってw)
空気とガソリン。この2つの内環境変化が大きいのはどちらでしょう?
考えるまでもないですねw 曖昧なのは空気です。空気の中身は覚えていますか?
空気=窒素+酸素+アルゴン+二酸化炭素等微量物+水蒸気
忘れてると「やはりジブリール!貴様は原子論を知らないっ!!」って言われちゃうよw(実はアルゴンの方が二酸化炭素より割合多いんですよ)
この混合物の中で助燃作用があるのが酸素です。その酸素を含んだ空気とはつまるところ大気ですので温度、気圧、湿度が変化しますよね。
温度、気圧そして湿度これらが変化すると空気密度が変わってしまいます。
この空気密度の変化が原因です。温度が上がれば分子の運動が活発になるので……
これ以上はただの授業じゃなイカ!!
結論 温度が上がって、気圧が下がって、湿度が高ければ空気密度が下がるから燃料の量を調整する必要がある!
ではどうやってセッティングするの?(不要なら飛ばして)
キャブレターはいくつかの部品で燃料の供給具合を決めています。
- MJ(メインジェット)
- SJ(スロウジェット)もしくはPJ(パイロットジェット)
- AS(エアスクリュー)
- JN(ジェットニードル)
- JNP(ジェットニードルポジション)
- JNH(ジェットニードルホルダー)
- SB(スロットルバルブの形状)
- 他にもPJ(パワージェット)や加速ポンプのジェット
って感じです。この中でも赤で色どられたのが一般的にセッティングで動かすものです。勿論、更に細かく煮詰めたりしたい時、加速ポンプなどの特殊機構の調整も場合によってはします。
2stの場合、比較的参考になる表があったので載せておきます。各部品の担当している範囲が分かりやすく記載されています。
蛇足ですが上級者向けに超細かい変化表も載せておきます(分からない人はスルー)
(蛇足)表はFCR、TMRベース。SJとPJの変化量から各社の仕様の違いが分かりやすい。なおこれはPWKやTMXなどでも同様である。
結論 これらの部品を変えて燃料濃度を変える。
セッティング表の存在
社外部品を作ってるメーカーが公表してる目安があったりします。でもエンジンには個体差等がありますので必ずこれでいいとは限らないので注意してください。
レーサーの場合、メーカーからオーナーズマニュアル的なものにセッティング表が出ていることが多いです。ワタシの経験上ですがYZ85やYZ125、TEやEXCのセッティング表は信用できます(但しKTMハスクの場合条件あり(後述参照))特に国内メーカーの方は基本うのみでいいと思います。
実際にTEでやってみる
TE及びEXC(2017)はミクニのTMX38χキャブが付いています。まずはこいつを外す作業からです。
まずはサイド両カバーとシートを外します。
次にチャンバーのサイレンサーを固定してるボルト2本を外します。
シートフレームをメインフレームとつないでるボルトを緩めます。
キャブ左右に見えるマイナスの六角を緩めてインマニ、エアクリと繋いでるバンドを緩めます。それから燃料タンクのコックをオフにしてキャブから燃料ホースを外します。
ちょっと分かりにくいのですがここまでの状態でリアフェンダーを上に持ち上げるように動かすとキャブが自動的にエアクリ側から分離します。
あとはインマニ側からもキャブを動かして外してやれば分離完了です!
こんな感じで外れてくれます。
キャブを開けて中を換える
キャブの下側を開けましたMJ、SJはここで換えます。今回、こっちに用はなく撮影しただけで戻しました。
キャブの上側を開けたいので燃料タンクを外して邪魔なのでエンジンをフレームにマウントしてる一部の部品を外してキャブを完全に独立させます。
キャブの上側を開けるとバタフライバルブとそれにくっついてJNが取れます。今回はJNそのものとJNPを変更します。
JNはその本体の太さ、テーパー角度で燃料量をコントロールしています。今回、全開域はあってるのに低開度と中開度が濃く、アイドリングしてるとエンストする症状が出ました。
先に述べましたが基本的にTEにはセッティング表がありその通りにしました。しかし、この表には致命的な弱点があることが今回分かったのです。
それは、気候の違いが考慮されいない 事です!
ハスクは現KTM傘下でエンジンはKTMとほぼ同じです。セッティング表はヨーロッパのからっとした気候ベースなのです。しかし、ここは日本。夏は暑く湿度は高い。湿度が高ければ空気密度は下がるので当然燃料も調整してやる必要が出てきたのです。
つまり、冬場のセッティングは表通りで全く問題ない(TEの購入は昨年12月)ということ。
今までワタシはTZR250RSやTZM50Rのキャブセッティングを死ぬほどやってきた経験からMJはそのまま。SJはやや濃いが全閉時の供給が薄めだと焼き付くリスクが高いから動かさない。TMXなのでASのコントロール域が広いからそこでアイドル域と全体をやや薄める。低開度域はJNで調節。中開度域はクリップを1段薄くしてやればいいと結論づけたわけです。
結果
- JNは43-74
- JNPは2段
- MJは450
- SJは35
- ASは1と2/3回転
これで真夏のセッティングが出ました!!
蛇足2 写真に写ってる袋に入ったバタフライバルブスプリングをハスクバーナ東名横浜さんが作ったソフトレートに交換しました。スロットルが250EXC-F並、つまりFIのアクセル並に軽くなりました。長時間の耐久やツーリングに役立ちそうですw
終わりに
キャブセッティングにおいて大事なのはパワーを出すこともそうですが、一番大事なのは壊さないようにセッティングする事だとワタシは思っています。
MJが薄ければ全開高回転域で燃料の気化冷却が追いつかず燃焼温度も高くなるせいで溶着を招くし燃焼速度も遅くなる。
SJが薄ければ全開時から全閉した時に燃料の供給が少なすぎて気化冷却がなく焼ける。
2stは特に全閉時の気化冷却が大事です。燃費が4stより悪いのは爆発回数が多いからだけじゃなくてこの全閉時に燃料を供給して気化冷却でシリンダーを冷やしているのが最大の原因なのです。
何事も濃い目からセッティングしましょう。そうしないとエンジン壊しちゃいますよ☆
次回は未定ですwww
新情報追記
ハスクとKTMのキャブレターJetsetにアップデートがあったのです。
最新式のセッティング表をお持ちの方はその通りに行ってください。なぜならその表は日本向けにちゃんと考慮されたバージョンなのです。
SJが25番で殆ど済む上にJNも43-75でほぼ全域をカバーしてくれます。
アップデート前の車両をお持ちの方も安心してください。キャブレターそのものが変わったわけではありません。中身だけですのでセッティングパーツを購入すればアップデート可能です。
いずれにしてもこのブログを書いた後すぐ知りまして寝耳に水とはまさにこれ…ワタシもすぐにでもディーラーに連絡してみます。
ジェットの情報等、確定情報が入り次第また追記します!
追記確定情報
ディーラーより回答を頂きましたので追記します。KTMとハスクではキャブの一部及びリードバルブ等に違いがあります。
KTMのアップグレードは確かなようでそこに日本版セッティング表もあります。ハスクバーナの方は現状から換えたところで特に変化は得られずセッティング表が変わる程度です。
結論
KTMのEXC(2017)なら効果はあり!(低速の改善、キャブセット簡易化)
ハスクのTEでも効果はありますがキャブセットの簡易化程度(低速の改善はASでできた)
アップグレードのジェットセットが6000円前後。費用対効果を考えて決断してね☆